研究概要 |
当該研究の目的は本邦と東アジア-日本,韓国,中国の閉経後女性の健康長寿の可能性を,ホルモン補充療法(HRT)や各生活習慣病(高脂血症、糖尿病等)、ADL障害、病態認識、社会背景を含め明らかにし海外コホート調査として発展させ7年間の成績を得る事に有る。成績は、西アジア<ネパール,イラン>及び米国と比較し特徴を明らかにすべく研究を施行した。本年度は研究最終年度として、HRT治療の効果を中心として高齢者総合機能評価(CGA)変化も含めた検討結果を集積解析した。海外症例900名、国内300名の計1200名の外来自立高齢女性を確保した。1)被験者への各種調査は問診にて(2)HRT施行状況,(3)合併症、血栓性疾患の家族歴、(4)HRTへの期待項目,(5)CGA(高齢者総合機能評価)を行った。2)被験者に対す診察、採血にて、基礎指標を比較検討し、遺伝で解析も20年度より開始し、9種類の遺伝子変異(SNP変異)を中心に施行した。血栓形成関連遺伝子解析に加え、例えばエストロゲン受容体(ERα,β)解析では、ERαのIVS1-401C/C genotype(exon2前のposition 401の介入sequence(IVS1)の2染色体変異)とHRT時のHDL-C上昇との関連等を検討した。遺伝子変異出現率は日韓で全く差がなく、中国(崑明,成都)とは血栓形成性遺伝子を中心に差異を認めた。3)合併症、副作用評価ではHRT施行期間も数年になり乳癌、子宮(体)癌、性器出血の有無を検討した。HRTは圧倒的に韓国での施行例が多かった。4)医療費は実経費を含め調査し、HRT施行者、心脳血管病薬剤投与者の総医療費、各疾患(脳心血管病、高脂血症、認知機能障害等)関連医療費を算出し、日本大佐藤特任教授に、連携研究協力者として指導を受けている。今後,学会論文発表を進めると共に可能な限り継続調査していく予定である。
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