研究課題
赤痢アメーバ症は発展途上国における小児下痢症の主要原因であり、世界中の感染者人口およそ5000万人、同症で毎年10万人の命が失われています。我々は赤痢アメーバ症が蔓延している南アジアにおいて、感染の成立から赤痢アメーバ症の発症・重症化までを規定する宿主因子ならびに病原体の病原性因子の同定を目指して国際的な共同研究を開始しました。具体的には、1.ICDDR,B.(国際下痢症研究センタ、ダッカ、バングラデシュ)で研究の詳細を綿密に打ち合わせ、2.ダッカ市のスラム街Mirpurで保健婦の方々も交えて研究計画の詳細に関する確認を行い、3.コホート集団を設定し、ICDDR,B.の倫理委員会での承認を経て、家屋配置も含めた住民台帳の準備、ICDDR,B.による個人情報の管理・保護をスタートさせました。実際の研究に関しては、現在、追跡している既存の400名のコホート集団のSNPs解析を更に推し進めると共に、新生児を漸次コホート研究の対象に追加してきました。新生児〜乳幼児の感染と免疫応答の動態を疫学的に捕捉するために最終的には500人の新生児群を追加する予定です。現地の医療スタッフがコホート集団の追跡調査を行っており、下痢・発熱・腹痛・赤痢アメーバの感染などのエピソードに関して経時的に観察・治療を続けています。また、新生児からから血清と末梢血単核球を回収・刺激・上清の保存などを行い、母親から移行する赤痢アメーバのレクチン特異的移行抗体の測定や新生児末梢血単核球の赤痢アメーバに対する自然免疫応答の測定などに備えています。
すべて 2008
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Genes Immun. 9
ページ: 452-461