研究課題
我々はPetri教授やHaque博士らと共にバングラデシュのミルプールでCohort研究に携わり、同研究における免疫学的側面を強化すると共に、スラムの現状に対する理解を深めてきた。赤痢アメーバ症の動物モデルを使用した研究より、病原性が未確定の赤痢アメーバEntamoeba moshkovskiiがCBA/Jの腸管に定着し下痢や粘血便などアメーバ赤痢に典型的な消化管症状を引き起こすことが判明したため、今回、E.moshkovskiiのヒトにおける下痢原性を調査した。まず、同地域において新たに開始された約400人の新生児・乳児を対象としたBirth Cohort研究において、下痢エピソードとE.histolytica,E.moshkovskii,E.disparの関連性を調査した。すると生後30ヶ月までの小児に認められるアメーバ陽性下痢検体において、E.histolytica陽性検体が約38%、E.moshkovskii陽性検体が約59%、非病原性E.dispar陽性検体が5%であった。同地域での健常者におけるアメーバとしては、非病原性E.disparが最も蔓延していろことから、下痢エピソードとE.histolyticaならびにE.moshkoyskiiの強い関連が示唆された。また、E.moshkovskii陽性検体42例において、下痢を引き起こす可能性のある原虫7種、細菌8種、ウイルス6種などと多重感染している検体を除いたところ、少なくとも6検体では、E.moshkovskiiのみが陽性であり、病原性E.histolyticaに加えて、ヒトにおいてもE.moshkoyskiiも病原性を有することが強く示唆された。
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