研究課題
熱帯熱マラリア原虫の感染赤血球は未感染の正常赤血球とロゼット形成を起こし、病原性を高める。一方、三日熱マラリア原虫もロゼット形成を起こし、病原性との関連が予想されるが、詳細はあきらかでない。我々は最近、熱帯熱マラリア原虫と三日熱マラリア原虫の感染赤血球表面に発現しているSURFIN/PvSTPという新規リガンド候補分子を同定した。本研究では流行地の三日熱マラリア原虫集団を用いてPvSTP(PvSTP1とPvSTP2)に対する選択圧を分子生物学的・集団遺伝学的に明らかにすることを目的とした。本年度も、タイと中国のマラリア流行地から三日熱マラリア原虫を採集し、採集した三日熱マラリア原虫から間接蛍光抗体法(IFA)用のスメア、DNA、RNAを調製した。PvSTP1について中国由来13株の塩基配列を直接シーケンス法で決定した。複数のアレルが重複感染しているサンプルが39あったため、プラスミドヘクローニングし、塩基配列を決定する準備を整えた。それともに、中立遺伝子座として13株についてASDLの配列を決定した。PvSTP2のPCR増幅が良くないため、条件検討を行った。昨年度に作成した抗体の反応性が良くなかったため、今年度はVAR領域に対して組換えタンパク質を作成し、マウス抗血清を作成するのに加え、ウサギペプチド抗体も作成した。そのうちPvSTP2に対するペプチド抗体による間接蛍光抗体法で三日熱マラリア原虫の赤血球細胞質内に非常に明確な反応が見られ、シュフナー斑点と良い共局在を示すことが分かった。定量RT-PCRにより、PvSTP1に比べてPvSTP2が50-100倍程度高く転写されていることを見出した。
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