研究課題
熱帯熱マラリア原虫の感染赤血球は未感染の正常赤血球とロゼット形成を起こし、病原性を高める。一方、三日熱マラリア原虫もロゼット形成を起こし、病原性との関連が予想されるが、詳細はあきらかでない。我々は最近、熱帯熱マラリア原虫と三日熱マラリア原虫の感染赤血球表面に発現しているSURFIN/PvSTPという新規リガンド候補分子を同定した。本研究では流行地の三日熱マラリア原虫集団を用いてPvSTPに対する選択圧を分子生物学的・集団遺伝学的に明らかにすることを目的とする。昨年度に引き続き、タイと中国の標本の解析を進め、中立遺伝子座ASDLの配列を決定した。しかし、特に発熱・感染率等の患者情報との相関を示すのは見出されなかった。タイと中国の標本の解析に加えて、ブラジルの三日熱マラリア原虫の標本を得て、塩基配列を決定したところ、多型性がアジアのものと比較して少ないことが分かった。分子生物学的解析に集団遺伝学的解析を保管するため、PvSTPIとPvSTP2の各領域で作成した組換えタンパク質を用いてタイの三日熱マラリア感染患者の抗体価を確認したところ、多くの患者がこれらの組換えタンパク質に反応したが、特に発熱・感染率等の患者情報との相関を示すのは見出されなかった。PvSTPの細胞外領域の組換えタンパク質に対して作成した抗体が原虫タンパク質に反応しなかったため、本年度は組換えタンパク質の大量精製を再び行い、抗血清を再び作製した。
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