ブロッコリー(B)の粉末試料を作成し、有効成分と考えられるスルフォラファン(SF)について、粉体試料とする過程での変動を調べ安定かつ濃度が維持される処理方法を検討した。また、砒素(As)の解毒機能についてハムスターを用いて粉体Bを添加した固形飼料を作成し投与実験を行った。また、中国において高度に砒素曝露する住民の診察と状況調査を行い次年度の介入試験の場としての可否を検討した。 1)SFが喪失・失活させない処理方法 全処理としての洗浄、粉体化、滅菌方法の諸条件を検討し、効率の良い条件が得られつつある。 2)無機ヒ素のメチル化に対する粉体Bの効果 粉体B投与によりAsの無機からジメチル化への変換の割合が高くなる傾向が認められたことから、粉体BがAsのメチル化を促進する事がわかった。 3)酸化的DNA損傷に対するSFの効果 As投与後の尿中8-OHdG濃度と10日目の肝臓DNA中8-OHdG濃度などを総合的に判断した結果、粉体Bには酸化的DNA損傷を抑制することがわかった。 4)ヒトでの粉体B投与介入試験の準備 今までの研究成果から、粉体Bの持続的な摂取は、無機Asのメチル化を促進する事から、無機Asの体外排泄促進効果があり、かつ酸化的DNA損傷を抑制する事が確認できたので、低濃度の金属曝露を受けている日本人ボランティアと、高度に砒素曝露する中国内モンゴル住民での粉体B投与介入試験の準備を始めた。しかし、中国内モンゴル住民には最近のメラミン牛乳事件以来、加工食品への不信感が強いとのことで、介入対象者を中国医科大学でトリセノックス治療を受ける患者で行うこととした。
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