研究課題
ナノ素材の安全性に社会的関心が集まっているため、本研究では中国におけるナノ素材製造・取扱い職場に働く労働者の心肺機能を中心とした健康への影響とナノ素材曝露との関連を調べ、ナノ素材リスク評価のための科学的基礎資料を作成することを目的とする。平成21年度は、昨年度実施した、中国上海近郊にある酸化チタン工場での曝露調査において、CPCおよびOPCにて計測した粒子数と重量濃度を算出し、作業前と作業後における時間経過による粒径の変化を解析した。また、曝露調査において採取したナノ粒子サンプルを、電子顕微鏡にて観察し、一次粒径と二次粒径を分析した。無機元素分析に関しては、日本環境衛生センターに委託し、14サンプルにつき、ICP-MS分析をし、サンプル中の含有金属の分析を実施した。労働者が装着していたマスクのフィルターに関しては、産業安全技術協会に依頼し、フィルターの性能の測定を実施した。酸化チタン工場労働者の健康診断データをまとめ、さらに、作業現場で労働者に装着したholter心電図の結果を解析し、粒子数や重量濃度と心拍数との関連を検討し、労働者によっては、ナノ粒子数と心拍数に有意な関連が認められた。採取した痰についても、病理組織学的に検討した。以上の検討結果のうち、曝露調査における粒子数や重量濃度の結果をまとめ、国内学会や国際学会で発表した。さらに、中国南京市での、ナノ生産工場での今後の曝露調査の実施につき、中国側共同研究者と充分に議論し、予備調査を実施した。
すべて 2010 2009
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