中国広東省広州市にある中山大学医学部附属第三医院及び広州胸科医院を訪問し、多剤耐性結核の現状について調査を行った。胸科医院に入院した患者の中で、MDR-TBおよび超多剤耐性結核(XDR-TB)は再治療例を含めて、2008年度が16. 7%、2. 0%、2009年度が9. 1%、0. 9%、2010年度が13. 5%、0. 3%であり、調査期間内ではMDR-TBは変わらないものの、XDR-TBは減少傾向を示した。得られたMDR-TB 50株、XDR-TB 5株についてrpo B、kat G、inh A、apC遺伝子の解析を行い、変異のみられた株がそれぞれ90%、63%、22%、6%に認められた。併せて、患者の宿主要因を調べるために、BMI、血清アルブミン値、白血球数、T細胞比率、CD4/CD8比、NK細胞比率、結核菌抗原に対する末梢血リンパ球の応答性について、感受性結核群とMDR-TB/XDR-TB 群間で比較検討を行ったところ、両群間に有意な差は検出できなかった。
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