研究課題
タイ、ブータン、およびスリランカにおいてヒトおよび動物脳検体を集め、迅速イムノクロマト法(RICT)RT-PCR法及び蛍光抗体法(FAT)を用いて狂犬病ウイルスの検出を行った。RICTの感度はヒト検体では99%、イヌ検体では95%であったが、ネコ検体では74%と低かった。その特異度は動物検体を用いた場合98-100%であったが、ヒト検体では80%であった。RICTについては、この結果をまとめ、現在論文を作成中である。ヒトの陰性対照群は検体数が少なく、今後も継続して検体を収集する予定である。麻痺型狂犬病の診断法の確立を目指して、RICTを用いて脳炎または急性弛緩性麻痺患者の脳脊髄液から狂犬病ウイルスの検出を行った。スリランカにおいては202検体の内4検体、バングラデシュにおいては69検体の内1検体が陽性であった。今後は、麻痺型と狂躁型狂犬病の各遺伝子配列を比較する。また、患者への追跡調査を行い麻痺型狂犬病の発症機序の解明に努める。さらに、狂犬病ウイルスのN、G、G-L遺伝子領域を増殖し、各国の狂犬病ウイルスについて分子疫学的解析を行った。ブータンおよびバングラデシュ株は、近年インドで流行が認められる極北型の遺伝子型であることを初めて確認した。また、スリランカで初めて森林型狂犬病を確認し、現在論文作成中である。さらにスリランカ株、バングラデシュ株の全ゲノム配列を決定し、ブータン株についても解析を進行中である。アジアにおける狂犬病の流行状況を把握するために、2004年から2008年にかけてバングラデシュにおいて調査された狂犬病曝露者数、死亡者数、およびワクチン接種者数をまとめて報告した。スリランカにおいても1999年から2010年にかけて調査を行っており、地理情報システムを用いた解析も進めている。今後、ラオスとインドにもフィールドを拡大し検体の収集を行う。
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Vaccine
巻: 29 ページ: 1036-1040
Archives of Virology
巻: 156 ページ: 659-669
http://www.med.oita-u.ac.jp/biseibut/home.html/home.html