研究課題/領域番号 |
20406028
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
檜山 英三 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 教授 (00218744)
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研究分担者 |
田尻 達郎 九州大学, 医学研究科, 准教授 (80304806)
大植 孝治 大阪大学, 医学研究科, 助教 (50314315)
上松瀬 新 広島大学, 病院, 病院助教 (90569881)
菱木 知郎 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (00375776)
井田 孔明 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (60313128)
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キーワード | 癌 / 小児 / 肝 / トランスレーショナルリサーチ / 薬剤反応性 / リスク分類 / 国際共同研究 / 副作用 |
研究概要 |
小児肝がんのうち80%以上を占める肝芽腫について、欧米、アジアでの罹患率とリスク別症例の分布と予後とを検討した。欧米と本邦を含むアジアでの肝3区域までの限局した腫瘍と肝4区域を占める腫瘍や遠隔転移例の罹患率に有意な差はなかったが、肝芽腫と肝細胞癌の発生率はアジアがやや多い傾向を認めた。予後については、前者はいずれでも90%近い5年生存率であったのに対し、後者は欧米でも未だに不良で、人種差や地域差は認められなかった。しかし、本海外調査にて、病理分類やリスク分類に用いている因子が共通でなくある。欧州(SIOPEL)や北米(COG)とドイツ(GOPH)と共同で、国際共同臨床試験の基盤整備を行うべくコンソーシアムを立ち上げることとした。また、病理分類はパリでの会合を開催し、問題のある症例を中心に各グループの病理医の検討を行い、分類を再検討することとした。病理分類に加えて、治療成績から、画像診断、分子診断を含めたリスク分類を再度検討を行い、リスク分類を従来の2群からさらに3-4群に分類することし、中間リスク群として遠隔転移のない肝切除不能例とする方向で検討を開始した。また、遠隔転移のある高リスク群への新たな治療法として、シスプラチンを増量した欧州の結果を検討するとともに、北米のイリノテカン・ビンクリスチンを基本とした新規薬剤の導入を検討し、本邦に適した臨床試験を提案することとした。一方、副作用として、心機能、聴力障害、二次がんなどの調査から、シスプラチンによる聴力障害は本邦に少ない一方で二次性白血病の発生が認められることが判明し、二次がんについて欧米のデータを収集することとした。今後国際共同研究として、小児肝がんの発生、進展の国際的な比較検討、さらに組織型、病期分類、リスク分類、治療効果判定、副作用や晩期合併症の評価法が共通とした国際共同研究の基盤整備を構築することとした。
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