研究課題
1)症例収集と病理組織学的検討:口腔粘膜表在性癌症例の症例抽出を、前年度の中国河北医科大学につづき、中国の四川大学呉教授ならびに南京大学黄教授、ミャンマー国立医学研究所のミィン部長らと、共同で組織標本を検鏡して症例検討をおこない、表在性癌の組織学的特性について共通認識を確立した。その表在性扁平上皮癌の共通基準をもとに現在もさらに症例収集をすすめている。2)口腔粘膜表在性癌の組織化学的検討:1)で収集した範囲の表在性癌症例について、借用したパラフィンブロックから連続切片を作製して、パールカン等の細胞外基質分子とそれらの細胞膜受容体インテグリンβ1鎖とディストログリカンの上皮層内発現様式、血管増殖因子(VEGF)、上皮増殖因子(KGF)、細胞骨格ケラチンK13、K17、K10、K19分子の発現様式、上皮内血管配置、Ki-67を指標とした細胞周期を免疫組織化学的に決定し、悪性病変でK17出現とK13消失とが対比的に生じること、VEGF・ポドプラニン発現細胞の重層化が上皮内癌診断の指標となりうることなどを明らかにした。さらに、パールカン免疫陽性間質の立体構築の解析をおこない、浸潤癌と上皮内癌の相違を科学的に明確にしえた。上皮内癌の診断を確定することによって、表在性癌が異型上皮・上皮内癌・浸潤癌の三段階の病変の複合体であることを認識できるようになった。3)口腔粘膜表在性癌に関する分子病理学的実験:口腔粘膜表在性癌症例のパラフィン切片より二層性の特性の明らかな症例については、レーザ微小切削法により、二層の上下層を区別してDNAを抽出してポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によってがん関連遺伝子増幅をおこなった。二層性下半層細胞におけるカドヘリン発現の低下が同遺伝子プロモータのメチル化による可能性した。
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