研究課題
基盤研究(B)
口腔粘膜癌の発生には、飲酒、喫煙や嗜好品等の食生活習慣が大きな要因となっていることは周知のところである。近年わが国だけではなく、高齢化にともなって口腔癌が増加傾向にあるが、その組織型は古典的な浸潤性高分化型扁平上皮癌だけでなく、口腔内多発性で粘膜表在性の非浸潤性扁平上皮癌が増加しているのが特徴で、われわれはこのタイプを<表在性癌>とよんでいる。しかし、現在まで詳細な疫学的調査は実施されておらず、新しいタイプの口腔癌発生の実態とその背景要因も特定できていない。このように口腔がんの発生は、社会、地域、民族等に特異的であるが、各々に特異的な口腔がんの発生機構は共通であるのか、個々に異なるのかは不明である。以上の口腔粘膜表在性癌の発生状況を最新の分子病理学的技法で解析するために本研究課題は計画された。そこで、第一は、日本・中国・ミャンマー等の東アジア地域における口腔癌およびその前癌病変の発生状況を概観し、その組織型を確認するとともに患者の口腔衛生状態を把握することで、近年日本で増加している表在性癌が東アジア地域でも独立疾患概念としてとらえうるかどうかを明確にしたい。第二は、同地域の口腔粘膜表在性癌の外科摘出材料のパラフィン包埋ブロックを各地の共同研究者の協力によって収集・借用し、パラフィン切片よりDNAを抽出して、ウィルス・真菌等の感染状況ならびに遺伝子多様性を解析し、地域間で比較検討することである。この二方向からの解析によって、従来強調されてきたタバコ習慣のほかに、歯科医療レベルや感染を含む口腔衛生状態ならびに遺伝的背景がどのように口腔癌発生の危険要因になっているのかを明らかにしたい。
すべて 2011 2010 2009
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (2件)
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