研究概要 |
1.マージン最大化学習器に関する結果 データ間の順序付けを学習するランキング学習問題に対し,ブースティングの手法を用いた新しいアルゴリズムSoftRankBoostを提案した.SoftRankBoostは,ランキング関数のクラスHと例題集合Sが与えられたとき,Hに属する関数の線形結合によって定義される関数で,Sのソフトマージンをほぼ最大にするものを効率よく求めるものである.特に,Hをランダム関数のクラスとすると,本手法は,(ソフト)マージンを保存する1次元空間へのランダム写像とみなすことができるので,カーネル手法と組み合わせることにより,本研究課題で考える非線形概念の学習問題にも適用できる可能性がある. 2.表現の複雑さに関する結果 本研究課題で考える学習方式における仮説は,深さが定数のしきい値回路としてモデル化することができるが,深さ定数のしきい値回路は,エネルギー複雑度を制限すると,多くの自然な関数を表すのに指数個のゲート数が必要となることを示した.この結果は,提案学習方式の効率化の限界を示唆している. また,量子質問計算量の下界を表す指標を新たに導入し,決定的計算に対する量子計算の効率化の限界を示した.さらに,ある制約を満たす単調積和形論理式のうち,充足割り当ての個数を最大にする,あるいは最小にするものを特定することに成功した.
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