研究概要 |
今年度も重要な発見が沢山ありました.昨年度に直交2方向半直線交差グラフの隣接行列の禁止部分行列による特徴付けと点集合の順序付けによる特徴付けを明らかにしましたが,直交2方向半直線交差グラフの認識問題などの計算複雑度は未解決でした.今年度は,直交2方向半直線交差グラフの円弧グラフによる特徴付けと禁止部分グラフによる特徴付けを発見しました.また,前者の特徴付けから,直交2方向半直線交差グラフの認識問題と同型問題が多項式時間で解けることを明らかにしました.さらに,これらの特徴付けを用いて,2値行列がある禁止部分行列を含むか否かを判定する問題も多項式時間で解けることを明らかにしました.この問題の計算複雑度の解明は長い間懸案となっていたものです. 直交半直線交差グラフに関しては,昨年度に閉路による必要条件を示しました.今年度は禁止部分構造による必要条件を発見しましたが,完全な特徴付け(必要十分条件)は未解決のまま残されています. ナノPLA設計において重要な問題である均衡完全2部部分グラフ問題に関しては,昨年度に直交半直線交差グラフに対するO(n^4)時間のアルゴリスムを提案しましたが,今年度はより高速なO(n^3)時間のアルゴリズムを提案しました.ここで,nは直交半直線交差グラフの点数です.さらなる高速化は今後の課題です.
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