研究概要 |
今年度はこの研究の最終年度ですが,昨年度までの研究成果をまとめた2編の論文を出版しました:直交半直線交差グラフの特徴付けに関する研究成果をまとめた論文(On Orthogonal Ray Graphs,Discrete Applied Mathematics,Vol.158,pp.1650-1659,2010)及びナノPLA設計において重要な問題である均衡完全2部部分グラフ問題と部分グラフ同型問題の直交半直線交差グラフに対する計算複雑度に関する研究成果をまとめた論文(On Two Problems of Nano-PLA Design,IEICE Trans.on Information and Systems,Vol.E94-D,pp.35-41,2011)です. 均衡完全2部部分グラフ問題に関しては,直交半直線交差グラフに対するO(n^3)時間のアルゴリズムを昨年度提案しましたが,今年度は直交半直線交差グラフの特別な場合である両凸2部グラフに対してO(n^2)時間のより高速なアルゴリズムを提案しました.ここで,nはグラフの点数です. 部分グラフ同型問題にしては,直交半直線交差グラフに対してさえもNP困難であることを昨年度までに明らかにしていますが,今年度は直交半直線交差グラフの特別な場合である直交半直線交差木に対してO(n^2)時間で解くアルゴリズムを提案しました. 様々なレイアウト設計において重要な問題であるグラフのバンド幅問題に関しては,直交半直線交差グラフの特別な場合である凸2部グラフに対してさえもNP困難であることを明らかにすると共に,直交2方向半直線交差グラフに対してO(n^2)時間で最適解の高々3倍の近似解を求めるデルゴリズムなどの様々な近似アルゴリズムを今年度は提案しました.
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