研究概要 |
多状態スキーレンタル問題は,古典的スキーレンタル問題を一般化したオンライン問題である.プレーヤーにはレンタルか購入の選択肢に加え,初期費用と単位時間毎の両方の料金を支払う選択肢が与えられる.ここで,与えられたインスタンスに対し達成可能な最適戦略の競合比を,最適競合比として定義し,任意のインスタンスに対し,最適競合比の上限と下限を解析した.下限はプレーヤーにとって最も有利なインスタンスが選ばれたとき,どれだけ良い競合比が達成可能かを示す一方,上限はいわゆる競合比についての一致する上下界を意味する.本研究では,この最適競合比の下限が,プレーヤーの選択肢の数をk+1個とすると(k+1)^k/((k+1)^k-k^k)であることを示した.このことは,いかなるインスタンスに対し最適戦略をとっても,競合比をe/(e-1)より小さくできないことを意味する.また,状態数を3つに限定したものに対し上限は2.47であり,選択肢を4つに限定したものに対し上限は2.75であることも示した.
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