公開鍵暗号では、従来のRSA、EIGamal暗号に比べて、安全性が高く鍵長が短くできる楕円・超楕円曲線暗号が1990年代から注目を集め、今日では様々な場所で実際に使われている。また、楕円曲線暗号は、Weilペアリング(Tateペアリング)を用いることによってID-Based暗号が実現できることで、その重要性が更に高まっている。本研究の目的は、楕円曲線暗号・超楕円曲線暗号に適した楕円曲線、超楕円曲線についての条件をチェックし、それらに適した楕円曲線、超楕円曲線を生成することである。平成20年度においては、y^2=x^5+axという形の種数2の超楕円曲線について、位数公式を使って、ペアリング暗号に適した曲線を任意の埋め込み次数に対して数多く生成することに成功していたが、y^2=x^5+axは拡大体で楕円曲線の直積に分解するという点に問題があった。 平成21年度は、拡大体で楕円曲線の直積に分解しないy^2=x^5+aの形の種数2の超楕円曲線につペアリング暗号に適した曲線の生成することに成功した。この場合、群の位数1と基礎体の位数qの比p=g log q/log 1が8程度となり、Freemanらによって従来からも知られている結果があっったが、Freemanらの結果では、アルゴリズムのループに指数関数回かかる可能性がある部分があり、実際には曲線が見つからないこともあった。位数公式を用いる我々のアルゴリズムは曲線発見のための計算時間が短くなっており、短時間で数多くのペアリングに適した曲線を見つけることに成功している。また、種数4の超楕円曲線y^2=x^9+axに対してもぺアリング暗号に適した曲線の生成することに成功した
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