研究課題
公開鍵暗号では、従来のRSA、ElGamal暗号に比べて、安全性が高く鍵長が短くできる楕円・超楕円曲線暗号が1990年代から注目を集め、今日では実際に使われている。また、楕円曲線暗号は、Weilペアリング(Tateペアリング)を用いることによってID-Based暗号が実現できることで、その重要性が更に高まっている。本研究の目的は、楕円曲線暗号・超楕円曲線暗号に適した楕円曲線、超楕円曲線についての条件をチェックし、それらに適した楕円曲線、超楕円曲線を生成することである。これまで、y^2=x^5+axという形の種数2の超楕円曲線について、位数公式を使って、ペアリング暗号に適した曲線を任意の埋め込み次数に対して数多く生成することに成功していたが、y^2=x^5+axは拡大体で楕円曲線の直積に分解するという点に問題があった。平成22年度は、拡大体で楕円曲線の直積に分解しないy^2=x^5+aの形の種数2の超楕円曲線についてペアリング暗号に適した曲線を生成するアルゴリズムを確立し、実際に多くの実例を計算した。先行結果であるFreemanの結果に比べて、計算時間が多項式時間であること、実際に多くの例を計算している点に意義がある。また、種数4の超楕円曲線y^2=x^9+axに対しても同様にペアリング暗号に適した曲線の生成することに成功した。これは、種数4の曲線ではペアリング暗号に適した曲線の族を生成する初めての結果である。
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IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
巻: E-93A, no.6 ページ: 1132-1139