研究概要 |
本研究課題では,アルゴリズム理論の観点から組合せ最適化問題を解くのに適した分散計算手法の開発を目的としている.2008年度では,高性能な計算機を3台購入し,その他研究室にある既存の計算機を用いて実験環境を構築した.また,構築した実験環境において,いくつかの組合せ最適化問題に対する実験を行った.主に行った実験は以下の通りである. 1.カラー画像をモノクロに変換するディザ法で用いる最適なディザ行列の探索 数万年かかると予想された探索に対して,目標とする評価値をもつディザ行列が満たす性質を示し,それを利用した探索を実装し,十数台の計算機で1日で終了する探索を実現した.現在,この成果に関する論文を執筆中である. 2.ヘドニック・ゲームにおける安定集団構造の探索 安定集団構造の探索を高速化する工夫として,ヘドニック・ゲームにおける安定判定問題および存在判定問題を解決する際に本質的に必要となる集団は発見した.この研究成果については,2008年9月仙台で開催された国際学会The 11th Czech-Japan Seminar on Data Analysis and Decision Making under Uncertaintyにおいて「Coalition Formation with Unconcerned Players」を題として発表した. さらに,高速な分散計算を実現するため,それぞれのプロセスとなるプログラムを自動生成した実験を行った.
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