研究概要 |
本研究課題では,アルゴリズム理論の観点から組合せ最適化問題を解くのに適した分散計算手法の開発を目的としりている.2009年度では,以下のテーマについて計算機実験を行った.最長で約二か月の計算機実験を行った. 1. カラー画像のモノクロ変換で用いるディザ行列の評価尺度の見直し 本研究課題では,当初,ディザ行列の評価尺度として食違い度を用いたが,我々の計算機実験を通じて,質の高い画像を出力するためには,食違い度の最小化のみでは不十分であることを発見した.そこで,食違い度に加え,新たな制約として一様性を導入し,それを満たすディザ行列を探索するため改めて計算機実験を行い,さらにその理論的解析を行った.この成果は2010年度中に発表する予定です. 2. ヘドニック・ゲームにおける集団構造の安定判定問題 ヘドニック・ゲームにおける集団構造の安定判定問題は理論的に困難であることが既存結果として示されている.我々はまずこの既存結果に導くより簡素な証明を与えたうえ,拡張を行った.この成果については国際会議EURO Conference in Bonn 2009において発表した.現在,ジャーナルへの投稿のため論文執筆中である.なお,この成果は,安定判定問題に対する分散計算の手法を開発する根拠を与える. 3. ジャストインタイム・ジョブ加重和最大化のための分枝限定法の開発 無関連並列機械モデルにおいてジャストインタイム・ジョブ加重和を最大化するスケジューリング問題は理論的困難であると知られている.そこで,我々はこの問題に対して分枝限定法に基づく解法を開発し,その実装および計算機実験を行った.今後はその解法における計算タスクの分割手法について検討する予定である.
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