研究概要 |
まず,Tandem複製歴再構築問題の多項式時間近似アルゴリズムを2つ設計した.1つは時間量O(n^9)を要し,近似率5を達成する.もう1つはより多い時間量を要するが,近似率2.5+εを達成する.以前の研究で多項式時間限定の近似アルゴリズムによって達成される最良の近似率は6であった. 次に,Closest文字列問題とClosest部分文字列問題の固定パラメータアルゴリズムを設計した.この2つの問題とも多くの応用を持つが,NP困難である.以前の研究でこの2つの問題のための多項式時間限定近似アルゴリズムがいくつも設計されたが,その時間量が理論的に多項式限定であるにもかかわらず,実用的ではなかった.一方,求めたい中心文字列または中心部分文字列への距離dが小さいとき,時間量がdに関して指数的ではあるがより実用的であるようなアルゴリズム(いわゆる固定パラメータアルゴリズム)の研究も盛んに行われてきた.本研究では,以前の固定パラメータアルゴリズムよりはるかに効率的な新しいアルゴリズムを設計することに成功した.また,Closest部分文字列問題に対する新しいアルゴリズムの実用性を検証するため,それを有名な(l,d)-埋込モティーフ問題に応用して実験を行った.実験結果から,以前のアルゴリズムに比べて,新しいアルゴリズムはより速く,かつ,より正確にモティーフを見つけることができることがわかった.
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