研究課題/領域番号 |
20500024
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研究機関 | 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所 |
研究代表者 |
河野 泰人 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 協創情報研究部, 主任研究員 (40396180)
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研究分担者 |
関川 浩 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 協創情報研究部, 主任研究員 (00396178)
山下 茂 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (30362833)
中西 正樹 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (40324967)
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キーワード | 量子回路設計 / 行列分解 / 離散対数問題 / Linear Nearest Neighbor / 量子回路の等価性判定 / Mutually Unbiased Basis / 複素アダマール行列 / 量子プッシュダウンオートマトン |
研究概要 |
本年度の課題として掲げた2項目のうち、特に【研究課題2-2】位相変換の新しい量子アルゴリズムへの応用に注力し、昨年度の研究により得られた高次の位相変換に関する量子回路を応用して、離散対数問題に対するショーアのアルゴリズムの改良に成功した。ショーアの離散対数問題が3つのレジスタを用いるのに対し、新しい量子回路は2レジスタで計算を実行するため、ショーアの量子回路に比べて量子キュービット数が約2/3になり、必要なキュービット数を節約できる。得られた量子回路は拡張性があり、他の問題への応用が期待できる。この研究成果は、当該年度の発表に間に合わず、現在、論文の投稿準備中である。 また、研究代表者らが以前発表した行列分解アルゴリズムを改良し、特許を出願した。さらに、このアルゴリズムを用いて6×6複素アダマール行列の新しい族を発見した。この成果は、6次元のMutually Unbiased Basis(簡単に言うと、擬似ランダムな量子状態を定義する基底の組のこと)に関する未解決問題を解くために利用できる。この研究成果は、国内研究会や国際会議で発表済みである。 この他に、量子回路の設計が正しく行われているかのチェックをするために、量子回路の等価性判定の研究を行い、古典の回路の等価性判定を量子回路判定の中でできるだけ使うようにして、単純に回路全体をユニタリ行列に変換してから等価性を判定するよりも多くの場合で効率的に量子回路の等価性判定ができる手法を考案した。また、量子回路、量子プッシュダウンオートマトンの計算能力に関する研究も行った。
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