研究概要 |
本研究は,Webアプリケーションプログラムが実行する処理のうち,Webサーバ/Webブラウザ(クライアント)のどちらでも実行可能な処理群の適切な処理分担を半自動的にあらかじめ何通りか求めておき,実行環境に最も合う処理分担を動的に選択することでWebアプリケーションの高効率実行を達成するものである.平成20年度の成果は次の通りである. 1. 処理分担を柔軟に行う下地として,サーバ側とクライアント側のコードを同一言語で記述するための拡張JavaScript言語のプロトタイプ設計・実装を行った.具体的には,どちらでも実行可能であることを判別するためのアノテーションを関数定義に明示することとし,その指示に応じてサーバ側/クライアント側JavaScriptコードを生成する処理系を開発した.どちらでも実行可能な関数の呼出しは遠隔呼出しとなることがあるので,そのためのコード生成も行う。なお,処理系の一部は本研究着手に向けて準備を進めていた次の研究成果を取り入れて開発を行った. 石橋崇,小宮常康,廣津登志夫 : JavaScript/MC^2の設計と実装,先進的計算基盤システムシンポジウム(SACSIS 2008)論文集,pp.213-220(2008年6月) 2. 本手法は,実行環境の変化に応じて,処理分担を動的に変更する.しかし,実行途中の関数が存在する場合,その実行状態(継続)を他方へ移送する機能が必要となる.そこで,その効率的な実現に向けて研究を行った.具体的には,Webサーバにおける継続利用の効率化の研究と,異なるプラットフォーム間で継続移送を可能とする処理系で問題となるスタックごみ集めの効率化の研究を行った.
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