22年度は前年度までの検討成果をベースに、モデリングメカニズムとその手法について整理することを目的とし、1)企業からの別の事例により検証に関わる開発手法全体のシミュレーションの実施、2)事例研究に基づく検証試行設計手法の整理を行った。またモデリングメカニズムに関しては、3)国際ワークショップを主催しスケーラビリティに関するモデリング上の課題の議論検討を深め、それに基づき4)シナリオとステートモデルを関連付けるモデリングメカニズムの改良について検討を行った。 上記の結果、以下の成果が得られた。1)モデル検査技術などの形式手法を用いた検証を想定した場合、従来の開発の流れで作られていた仕様書や設計書では、その記述の視点や記述方法が不十分であることが分かった。そこで検証対象、検証性質、検証対象の基盤や開発の想定、検証アーキテクチャといった観点から情報を整理し、それをまず大きな検証の枠組みを確認し、次に必要な情報や文書、さらにはモデリング手法を決定し、それに基づきモデル化を行い検証するという検証指向開発手法を手順として整理した。2)またスケーラビリティに関する検討を踏まえ、当初からの問題意識であったシナリオとステートモデルとの対応付けに関しても改良を検討した。モデリングにおいてモデル構築の初期から細部の整合性をきつく求めると大規模なモデリングがしづらいとの観測から、シナリオとステートモデルの対応関係を宣言的に定義し、モデリングの進展や開発の局面に応じて、その対応に従った処理方式を柔軟に切り替えるモデリング手法について基本的な整理を行った。
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