研究概要 |
ソフトウェア開発において,要求定義段階で定義した必要な品質要求が,設計や実装の段階においても,系統的に継承されていることを確認するために,要求仕様書,設計書,ソースコード内における,品質に言及した成分の量を分析し,可視化するための手法であるソフトウェアのスペクトル分析法の評価を行った.具体的には組み込みソフトウェアにおける設計諸とソースをそれぞれにスペクトル分析を行い,品質継承の不具合を発見可能なことを確認した.要求仕様書,設計書,ソースコードは組織や分野によって構成や章立てが異なる.例えば,品質要求をある節にまとめて記述する構成の場合,昨年度までのスペクトル分析手法では,過小評価されてしまう.そこで,章立てに基づき,各品質特性の重要度を再評価するための手法を考案し,その再評価のためのツールを構築した、要求仕様書については仕様書の構成例として,IEEE830の付録に紹介されている3つの章立てを例題として使用した.これによって,異なる構成や章立てを持つ文書やソースの場合でも,実質にあったスペクトル分析が可能となった.仕様書やソースコードは,基本的には文字列で構成される文書とみなすことができるが,スペクトラム分析における意味解析をより精密に行うために,中間言語表現として格文法を利用することを検討した.文書を格文法に変換する手法は既発表の技術を利用した.その結果,スペクトル分析をより精密に行うことが可能なことを確認することができた.
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