本研究の目的は、モデリング言語UML(Unified Modeling Language)を利用したテスト技法、および、プログラムの可視化手法の2つの観点から、組込みソフトウェアに特化した信頼性向上手法の提案し、来たるべきユビキタス社会における情報技術への要求に、迅速に対応できる基盤を与えることにある。今年度は以下のことを行った。 1.プログラムの制御の流れを可視化し、動作理解の支援を行うことを目的として、昨年度までに、Javaプログラムを入力として、コントロールフローグラフ、実行経路、および、UMLのシーケンス図を、ユーザに提示するツールAvisについて、テスト支援ツールへの拡張を行った。今年度は、このAvisをより実用的な例に適用することによって有用性を評価し、5WCSQにて発表した。さらに、Avisのユーザインタフェースの充実を図り、各種出力をユーザにより理解しやすい形で提示した。この研究成果については、電子情報通信学会論文誌にて発表する(2012年4月採録決定)。 2.組込みシステムにおけるハードウェアを考慮した上での、組込みシステムに適したプログラミング言語とその実行のためのコンパイラについて、昨年度までに、その実現のための具体的な手法を提案し、その有用性と実用性について評価した。今年度は、より実用的な例に適用し提案手法を評価した。ただし、この成果については現在論文を投稿中であり、未発表である。また、テスト環境構築について、昨年度までに、ハードウェアを仮想的に実現する具体的な手法を提案した。今年度は、この提案手法を実現するツールを実際に試作し、SWEST13で発表した。 3.組込みシステムを対象とした、具体的なテスト分析手法について、昨年度までの研究実績を含めて、福岡市主催の講演会にて講演した。
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