研究概要 |
電子指紋検出アルゴリズムの計算量、回路量、被検出楽曲に対する耐改変性などについて,既存アルゴリズムをMATLAB上に実装することによって詳しく検討した。その結果,検出の基本的な要素はFFTによる周波数ごとの時間遷移の差分であることが判明し,検出率などについての基本的なデータを得た.一方,ハードウェア化の障害となっている要因は,FFTの計算複雑さであり,この部分でハードウェア量や処理時間を大きく消費していることが分った.そこで,ハードウェア実装の観点から新しい電子指紋検出の実装法を研究し、実装時に問題となる回路量、クリティカルパス長など、ハードウェア実装における観点からアルゴリズムの評価を行った。新しいハードウェア向けアルゴリズムは,ハードウェア化の障害となったFFTの代りに,Haar基底のWavelet変換を用いるアルゴリズムである.時間シフトや差分の計算方法を変えて,提案アルゴリズムの検出精度を確認した.128MbpsでのWMA及びmp3による圧縮,また22.05KHzでのサンプリングレート変換を施した10曲の音楽について実験を行ったところ,ハードウェア実装された既存アルゴリズムが315ミリ秒要していた処理を,ソフトウェア実装の提案アルゴリズムは128ミリ秒で処理可能なことが分った.また,回路規模から試算したところ,ハードウェア実装された提案手法は,0.623ミリ秒の処理時間が推測された.更に検出精度について正規分布に従うと仮定した場合,提案アルゴリズムの誤検出率は10^<-30>となることが分った.
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