クラスタコンピューティング環境やリコンフィギャラブルシステムの高性能化と多様化は、これらのアーキテクチャ教育にも影響を与えつつある。本研究では、「柔構造型クラスタ環境に向けたリコンフィギャラブル・プログラミング教育システム」の開発を行う。 1.並列アーキテクチャ教育のための教材および演習の開発(初年度) クラスタの構成やネットワーク遅延などの条件に加え、学習者のプログラミングによって、性能がどのように影響するかを学べるようにする。本年度は、教材および演習の設計を行いつつ、所属機関におけるアーキテクチャ教育の実態を踏まえ、MPIを対象とした学習教材および演習問題を開発し、その結果を公表した。現在、ノードの追加や変更を実際に行い、ヘテロな構成を実現する基礎実験について設計を進めると共に、開発した教材および演習環境の評価を行っている。 2.柔構造型クラスタ環境に関する研究開発(初年度) 柔構造型クラスタ計算機に必要不可欠なクラスタ用SWおよびNICの開発を進めた。Virtex-5FX50Tを搭載したFPGA評価ボードを使用し、VHDLによるクラスタ用SWおよびNICのプロトタイプ設計を進め、その結果を公表した。具体的には、計算対象となるデータを用いた静的な経路変更を実現するためのメカニズムおよびプロトコルの検討などを行った。 3.学習管理システムMoodleにおける新しい教育機能の開発(初年度) アーキテクチャ教育に特化した実習や演習を手軽に行えるモジュールを作成するための、機能設計を重点的に行った。次年度は、リコンフィギャラブル・プログラミング教育の内容をさらに検討する。「可変性」を持つシステムにおける実習教材の開発、教育に適したMoodleモジュールを提案する予定である。その上で、アーキテクチャ・プログラミング教育環境としての完成を目指す。
|