移動体無線通信における周波数帯域の割当てにおいて典型的に現れるような、有限資源の動的最適配分法を考案するために、従来の研究では、主として指数分布に従うと仮定されている資源の占有時間について、裾が長い分布やMarkov過程の吸収時問に相当する相型分布に従うという、より現実的な確率分布の適用法を研究した。これは、現実のシステムを想定して、配分された資源を使用して何らかのタスクが実行されることのモデル化に使うためである。同様の資源占有時間モデルを、レストランでの客の滞在時間や、コールセンターでのオペレータの通話時間等、サービス・システムの性能評価に用いる準備を進めている。 複数のユーザを公平にサービスするFair Queueingを分散処理で行う有効な方法として、処理ビット数を基準とする方法を新規に考案し、その性能をシミュレーションにより確認した。これは、パケット交換方式の有線及び無線通信網における交換機で使える。 コグニティブ無線において、複数の種類の通信要求が周波数帯を共用する簡単な理論モデルを作り、それに基づく使用効率の評価を行った。今後は、このモデルを、より現実的なプロトコルに対応するように改良し、コグニティブ無線の方式策定に使えることを目指す。 さらに、サービス・システムに現れる、資源の要求量が時刻に依存して変化する場合の基本的な確率過程について、時間依存する厳密解を計算した。資源量が有限な場合には、要求が満たされずに、サービスの機会損失が発生するが、時間依存する損失率の近似計算法を開発中である。
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