本研究では仮想空間を提供するためのサーバ構成の検討を行う。仮想空間サーバにおいて、大規模アクセスに対処するためにはクラスタ型サーバを構築する必要があるが、特にそのバックエンドにおいて性能の決め手となるストレージシステムをどのように構成すべきかが重要である。仮想空間は従来のデータインテンシブ・アプリケーションと異なる性質を持っており、良い性能を発揮させるためにはいくつかの課題が考えられる。仮想空間のサーバの性質や性能についてはまだ全く知られておらず、本研究ではまず仮想空間がどのような振舞をみせるものであるのか調べる。 本年度は昨年度に引き続き、パブリックドメインのメタバースサーバシステムであるOpenSimを用いて実験を行った。ログイン時のレスポンスを調べるため、ログデータを基に解析を行い、ログイン処理のボトルネックとなっているストレージアクセス部分を特定した。またこれまでOpenSimをスタンドアロンモードで起動していたが、これを複数のサーバ間で連携を行わせるグリッドモードとして動かす設定を行った。現在のWebサーバが各サイトで独立して起動されながらハイパーリンクにより接続され、ユーザは意識せずにそれらの間を移動してアクセスできるのと同様に、メタバースサーバが広く用いられるようになった場合、各サイトでそれぞれメタバースサーバを立て、これらの間をリンクさせることにより、アクセスしたアバタが自由に行き来できる形になるであろうと考えられる。本研究ではそのようなケースにおけるサーバの振舞をログデータを基に解析を行った。今後はこれらの結果を基に、メタバースサーバが適切なストレージアクセスを行うための仕組みについて検討する予定である。
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