研究概要 |
平成21年度で計画2年目を迎える開発目的のシステムは,以下のモバイルエージェントからなるコンテンツ配信システムである.すなわちコンテンツを保持するコンテンツ・エージェント,そのバックアップを保持するバックアップ・エージェント,利用者ヘコンテンツを表示したり利用者からの要求を受け取ったりするユーザインターフェイス,およびユーザインターフェイス-コンテンツ・エージェント間のデータの授受を行うユーザエージェントにより構成した.その際,ユーザインターフェイス-エージェント間,あるいはエージェント間の情報のやり取りは,Maglogフレームワークが持つフィールドと呼ばれる環境を経て行うこととした. 昨年度開発したコンテンツ・エージェント群が自律的にシステムに参加している複数の計算機上に分散配置する具体的な仕組みを元に,具体的なシステムの開発を試みた.すなわち,モバイルエージェント技術の特徴を積極的に利用したe-Learningシステムと人物追跡システムである.初期状態としてシステムに1台の計算機のみ参加している状態を考え,コンテンツを配置した2次元領域のすべてをその計算機が管理することとした.例えばe-Learningシステムでは,1台づつ利用端末がシステムに参加してくるたびに,2次元領域を分割しながらその分割領域に配置されたコンテンツ・エージェントを受け取る動作を繰り返す.一方,システムに参加していた計算機がシステムから離脱する際には,その計算機が管理する領域と同じ形状の領域を管理する計算機を探索し,それと領域を結合させながらコンテンツ・エージェントを引き渡す動作を行う.以上の動作により,システムへの計算機の参加離脱が繰り返された場合でも,コンテンツ・エージェントを自律的に分散管理することが可能となった.このような動作は,モバイルエージェント技術特有の性質を利用したものであり,システム自身の新規性とともにモバイルエージェント技術に対する新しい知見を与えるものと考えている.
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