研究概要 |
平成20年度の研究において,被災者発見システムを構成する各ロボットに対して遠隔給電を行うことを可能にする,低周波磁気共振機構にもとづく給電ネットワークの基盤となる給電リンクの最適設計法について検討した 低周波磁気共振機構とは,送電側コイルが比較的低周波の振動磁界を発生させ,この振動磁界に反応した受電側コイルに対して電力を送電する遠隔送電システムである.振動磁界の周波数は,電磁波による電力の散逸が生じない程度に低く設定するので,理論的には100%の送電効率を得ることができる.しかしながら,送・受電側の両者のコイルにおいて大きな電流が流れ,この結果コイル中の抵抗が電力を消費するので必ずしも高い送電効率が得られないという問題点がある.例えばMITによって行われた実験例では,約10MHzの周波数と直径25cmのコイルを用いた2mの距離の電力伝送において約40%の電力伝送効率が報告されている. 今回の研究では,上述のように問題となるコイルの内部抵抗を給電リンクの電気回路モデルに含め,さらに受電側をコイルと複素インピーダンスのみとする単純化を行ったうえで同モデルの解析を行った.解析にあたっては,コイルの形状を定めたうえでインダクタンスと内部抵抗値との関係を求めた,この結果,電力伝送効率が最大となる場合および有効伝送パワーが最大となる場合のそれぞれにおける受電側インピーダンスが得られた.さらに,給電リンクがある臨界周波数以上で駆動されるなら,電力伝送効率と有効伝送パワーの任意の組み合わせを実現する回路パラメータが存在することが明らかとなった.
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