本研究の目的は、スマートアンテナを用いて空間利用効率を向上させる効果的な自律分散型直交ルート構築および複数ルート構築を行うためEVALPSNの論争推論機能を利用した直交ルート構築アルゴリズムおよび複数ルート構築アルゴリズムを展開し、それらを分析・評価する。さらにその結果を踏まえ、パラコンシステント論理プログラムEVALPSNの電子回路化を念頭に置いたEVALPSNに基づくルート構築方式の実装実験の可能性を検討することである。 平成20年度の研究では、中松(代表者)と渡辺(分担者)が共に無線アドホックネットワークにおけるいくつかの問題点について議論し、それぞれの立場よりルート構築方式の詳細分析を行い実装における問題点を明確にすることが中心となった。 その結果、現時点において直交ルート構築については、指向性アンテナの物理的性能など諸々の条件を考慮すると、直交ルート構築に基づくスマートアンテナを用いた空間利用効率向上は困難であると結論付けることになった。従って平成21年度からは複数ルート構築に的を絞り研究を行う。 またEVALPSNの論争推論機能の複数ルート構築への利用に関して、EVALPSNの交通ネットワーク、パイプラインネットワークなどへの既存の応用結果を基に検討したところ、複数ルート構築については論争推論より複雑な蓋然性推論を利用した方が有効であろうという結論が得られた。さらに、ネットワークルーティングへのEVALPSNプロセス前後関係処理機能の応用可能性についても他の応用例を考慮し検討した結果、応用可能であると結論付けられた。 これらの研究成果は論文3編、図書1編、学会発表1件として公表さ一並ている。
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