本研究の目的は、スマートアンテナを用いて空間利用効率を向上させる効果的な自律分散型直交ルート構築および複数ルート構築を行うためパラコンシステント論理プログラムEVALPSN(Extended Vector Annotated Logic Program)の論争推論機能を利用した直交ルート構築アルゴリズムおよび複数ルート構築アルゴリズムを展開し、それらを分析・評価する。さらにその結果を踏まえ、パラコンシステント論理プログラムEVALPSNの電子回路化を念頭に置いたEVALPSNに基づくルート構築方式の実装実験の可能性を検討することである。 平成22年度は、平成21年度研究成果である基本的なネットワークルーティングプロトコルの一つであるDSR (Dynamic Source Route Protocol)のEVALPSNを用いたモデル化を踏まえ、複数ネットワークルートプロトコルMDSR(Multi-DSR)のEVALPSNによる論理モデル化を行った。その際に昨年度より検討中の蓋然性推論、論争推論の最適ルート選択への適用を考慮したが、単純なMDSRのモデル化において、その実装を考慮した場合、システムがより複雑になり実装効果が少ないと判断された。しかし、同じEVALPSNによる他の複数ルートプロトコルをEVALPSNによってモデル化し、同一ネットワーク上に複数のルーティングプロトコルを実装し実時間でネットワークの混雑具合などに基づきプロトコル選択を行うシステムを考えればこれらの推論のEVALPSNに基づく実装も有効であると結論した。これらの成果については雑誌論文1編、国際会議論文1編として公表済み。また、シミュレーションシステムについては構築途中である。
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