本研究の目的は、利用者に対して、利便性と安全性を両立させるための情報サービスを提供するために、情報処理の過程に人間性と社会性を取り込んだ共生コンピューティング技術を開発することを目的としている.平成20年度に定式化した共生コンピューティングのモデルと、共認知機能のモデルに基づいて、平成21年度はパーセプチャル機能とソーシャル機能の実装を行うことを目的とした. (1) パーセプチャル機能の実装:パーセプチャル機能は、センサーネットワークから伝達されるデータを選択的に収集し、見守る対象の個人のアウェアネスを獲得する.平成21年度には、カメラ、圧力センサー、筋電計などから、人の姿勢、位置、動作をアウェアネスに変換するプログラム群をC言語を用いて実装した. (2) ソーシャル機能の実装:Web空間からマイニングにより獲得した地域の情報や、パーセプチャル機能から獲得した人の間の関係に関する情報を蓄積し、パーセプチャル機能の認識精度を向上するための情報を、パーセプチャル機能に提供する.ソーシャル機能は、フレームシステムに基づく知識べース機能とエージェント機能をLISP言語およびOMASプラットフォームにより実装した. (3) 共認知機能の設計:人と情報システムの間の共認知の関係を実現するエージェントであるパーソナルアシスタントの実装と個人の集団から構成されるコミュニティの状況を理解するためのコミュニティエージェントの実装を行った.これらのエージェント機能は、OMASプラットフォームおよびLISP言語を使用して実装した. (4) 共生アプリケーションの実験システムの設計:(1)~(3)の機能を使用してコミュニティの支援を行なうアプリケーションとして、テレワーク支援機能の設計を行った.
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