研究概要 |
第一に, ガス状物体の動きを計算するための手法について調査および検討を行った. その結果, リアルな動きを計算するためには, ナビエ・ストークス方程式と呼ばれる流体の動きを記述する偏微分方程式を数値計算する方法が最善であることがわかった. そこで, この方法を実装し, リアルな動きを表現できることを確認した. この際, 高速な計算を可能とするため, グラフィックスハードウェアを利用した新たな手法を開発した. しかし, ガス状物体のデータサイズが大きくなると計算コストが増大し, 高速計算が難しくなるため, 前もって保存しておいた動きのデータから任意の動きを合成する手法の考案も行った. 第二に, 動的なガス状物体のデータに対し, 高速に輝度計算を行うための手法を考案し, 基礎実験を行った. ただし, 多重散乱を考慮しない場合について手法を考案した. この場合, ガス状物体の輝度計算は二段階に分けられる. 第一段階は, 光源からガス状物体内部の各点に到達する光の計算, 第二段階な視点から見たガス状物体の輝度の計算である. これらの二つの段階のうち, 特に第一段階に多くの計算コストを必要とする. そこで, 第一段階を前処理において計算しておく手法を考案した. これによって, 高速な輝度計算は可能となったが, 前処理において生成したデータのサイズが膨大となってしまったため, その圧縮法も合わせて開発した. また, 上記の研究と並行して, 結果画像を作成するために必要なガス状物体以外の物体の表示手法についても研究を進めた.
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