研究概要 |
昨年度基礎実験を行った多重散乱を考慮したガス状物体の輝度計算法を発展させた.具体的には,GPUによる並列計算を行うことで高速化を実現した.このとき,GPUでの並列計算を効率的に行なうための前計算データの圧縮法についても新たに開発した.これによって,データサイズを1/100~1/200にまで圧縮することに成功した,計算速度については,昨年度の基礎実験時と比較して,10倍から20倍の高速化を達成した.これによって,任意の視点位置および任意の照明条件下での動的なガス状物体の映像をリアルタイムに生成することが可能となった.この成果は国内での研究会にて発表し,高い評価を得た,現在,国際的な論文誌への投稿を計画している.上記の研究と並行して,昨年度開発した地球規模の雲のデータを可視化するシステムについて既存の大規模データの可視化システムとの比較・検討を行い,その成果をまとめて論文誌にて公表した. 次に,動的に変形する物体の輝度を高速に計算する手法の検討を開始した.そして,人物のような物体についての手法と布のような薄い物体についての手法を考案した.いずれの手法も動的な物体を単純な形状の集合で近似することで高速化を実現する。人物のような物体の場合は,球の集合,布のような物体の場合は円盤の集合によって近似する.そのプロトタイプを実装し,相当な高速計算が期待できることを確認した.また,この方法では,前もって計算する中間データもそれほど大きなものにはならないということがわかった.今後は,これらの方法を発展させ,研究成果として論文誌等での公表を急ぐ.
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