研究概要 |
本年度の我々の主要な研究成果は以下の2つであった. (a)形状変形に強い検索手法:多視点からの2次元画像に基づいた多数の局所特徴量の集合と,これらを効率よく統合する手法を組み合わせ,姿勢変化や形状変形に強い3次元形状の比較・検索手法を提案・評価した.この手法は,42視点から得た深さ画像から多数(1500程度)の局所特徴を得る.これらの局所特徴はBag-of-features法によって1特徴ベクトルに統合し,比較の際の計算量を下げた.実験的評価の結果,幾何的には単純だが大きな姿勢変化があるモデルに対しては,既存の手法を大きく上回る検索性能を得た.我々はまた,本手法の計算の手間を改善する目的で,SIFT特徴抽出のGPUによるストリーム並列処理化などを導入し,大幅な高速化に成功した. (b)形の持つ意味と意図への適応:既存の適合度フィードバックを用いた「意味的」検索手法は単一の検索セッションにおける意図を反映するが,適合度フィードバック開始前の初期検索結果が悪いという欠点がある.そこで我々は,半教師付き学習を用いた複数意味カテゴリの事前一括学習と,多様体ランキングを用いた検索者の意図のオンライン学習を組み合わせた,高度に適応的な検索手法を提案した.我々は,複数意味カテゴリと意図との組み合わせの効果を,Princeton Shape Benchmarkデータベースを用いて実験的に評価した.その結果,まったく学習なし(特徴量を直接利用)では37%程度の検索精度なのに対し,複数カテゴリの半教師付き学習を施した初期検索(適合度フィードバック開始前)で58%,さらに,3回の適合度フィードバック反復の後には90%を超える,高い検索精度を得ることができた.
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