研究概要 |
本年度の我々の主要な研究成果は以下の2つであった. 1.姿勢変化に強い検索手法の高精度化・高速化:我々は前年度,2次元画像に基づいた局所特徴量群と,これらを効率よく統合する手法を用い,姿勢変化や形状変形に強い検索手法を提案した.本年度は,この手法に,高精度化のための局所特徴サンプル方法の変更や距離計算の変更,高速化のための特徴抽出へのGPU並列処理の導入,等,多数の改良を加えた(BF-DSIFT法).その結果,2010年3月に行われた国際的な3次元モデル検索コンテストSHREC 2010の姿勢変化モデル(Non-Rigid 3D)部門で1位(同着),一般剛体モデル(Generic 3D Warehouse)部門で2位の成績を収めた.3次元モデルからの特徴抽出の制約から,姿勢変化モデル部門の手法は一般剛体モデルには適用できないことが多い.我々は同一の手法で異なる2部門で上位の成績を収めたことは特筆できる. 2.単一視点からの深さ画像による検索:3D TVコンテンツの検索やロボットナビゲーション等の目的で,単一視点から得た深度情報をもとに3次元モデルを検索する要求がある.我々は,上記のBF-DSIFT法に変更を加えた手法で国際的な3次元モデル検索コンテストSHREC 2010の深度スキャン(Range Scan)部門で1位の成績を収めた. 3.自動タグ付けを用いたテキストによる検索:3次元モデル検索のクエリは3次元モデルのことが多いが,欲するモデルに十分に類似した3次元モデルが得られないことが多い.クエリの利便性を高めるためにはテキストによるクエリが望ましいが,3次元モデルにはテキストタグが付いていないのがふつうである.そこで,タグを持つ小数の教示例のタグ(意味ラベル)を形の類似性でタグの付いていないモデルに伝播する手法を提案した.
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