研究概要 |
本年度の主な研究成果は以下の2つである. 1. 面上の距離でパラメタ化した局所特徴:姿勢変化や大域変形を伴う3次元形状モデルの形を比較する新たな手法を提案し評価した。従来法では,メッシュモデル面上の多数の注目点について,その点を中心とした距離場を熱等の拡散などを模擬して計算し,その距離場の分布からその注目点の局所特徴を求める.しかし,こうして求めた拡散距離場のみによる従来の局所特徴では,細かい幾何形状の差を捉え,比較することができない.提案手法では,注目点での局所幾何特徴と,注目点での拡散距離場から求めた特徴とを組み合わせて用いる.これにより,距離場のみから特徴を求める場合に比較して,より高い検索性能を得ることができた.本手法を用いて3次元モデル検索の国際コンテストSHREC 2011のNon-Rigid 3D部門に参加し,上位の成績を収めた. 2. 2次元スケッチによる検索のベンチマーク作成:本研究では,2次元スケッチの例示による3次元モデルの検索手法の開発と,そのような検索の性能を定量的に評価するためのベンチマークの作成と公開を目指す.これまで,3次元モデルを例示する検索手法が多かったが,現実には例示できる3次元モデルが無い場合が多い.そのような場合には2次元スケッチをクエリとした検索が有効である。本研究では,変形に対する不変性も考慮したスケッチによる検索の手法を開発する.さらに,本研究では,描画の具体度や詳細度をコントロールした,2次元スケッチによる3次元モデル検索のベンチマークの作成・公開を目指す.このようなベンチマークは研究の進展に不可欠であるが,これまで存在しなかった.本年度は,単一視点からの描画で検索するベンチマークを作成した.現在はその公開の準備中である.
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