研究概要 |
三次元形状データベースからの多重フーリエスペクトルによる知識統合化に関して、H22年度に質・量ともにかなり進歩することができた。当初の目的にあったように知識統合の中で,特に三次元物体のセグメンテーションの研究の新しいコア技術となりうるアイデアを開発し、学会発表することができた。具体的には、セグメンテーションを行い再利用したい三次元物体は通常、複雑な形状・パーツ構造をもつものが多いので、「突起形状」に着目し、三次元物体を構成するメッシュのグララ構造を利用する全く新しいセグメンテーション手法を開発した。これは、2月に北海道大学で行われた映像情報メディア学会で「突起形状に着目した3次元モデルのセグメンテーション」というタイトルで発表した。なお、評価として米国プリンストン大学で作成されたベンチマークを使って行い、クラスによっては最高精度を達成することができた。 一方、多重フーリエスペクトルで得られた特長量の次元削減手法は、特許出願を行い、同時に論文誌に投稿し、最終的に出版された。こちらの次元削減手法の最大の特長は、非線形な高次元構造を多様体として捉え、事前に様々な形状の三次元データで訓練しておき、低次元への射影変換を行う行列を学習しておくことで、未知データに対しても頑健であることである。ただし、特徴量の次元が大きいと前処理の時間が大きく、場合によっては、メモリに入りきらないため次元削減できないこともありうる。この問題に対してNSH(Neighborhood Sensitive Hashing)というハッシュ手法を開発した。これはデータのスケーラビリティに対応するため極めて重要な技術である。この技術に関しては、特許として出願している状況である。
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