研究概要 |
本研究では,申請者が開発してきた仮想彫刻版画手法を拡張することで,実世界の様々な美術工芸技法を取り入れた物理モデル駆動に基づく三次元CG作成手法を開発する.そして,この手法を取り入れたCGシステムを教育,芸術,美術工芸デジタルアーカイブなどに活用することを目的とする.そこで平成20年度,21年度では従来の仮想彫刻版画手法の描画と形状生成に関する基盤技術を改良するとともに,日本の伝統工芸技法である漆工と,漆工装飾技法である沈金に着目し,これらを仮想空間で実現する手法の開発を行った.また中央アジア石刻画へのシステム応用も検討した. そして平成22年度は,開発した手法に基づいて対話的にCG沈金作品を制作する沈金シミュレーションをPC上に実装して,学内イベントおよび学外イベント(名古屋市歩こう文化のみち)で一般の人に公開してシステムを使用してもらい,システムの検証や意見収集を行った.そして昨年度に引き続いて徳川美術館の学芸員との定期的な研究会を実施して,意見交換や情報収集,開発システムの検証なども行うとともに,その結果を反映させるためのシステム改良を行った.GPUを用いたシステムの高速化・高精度化も行った.また中央アジア石刻画を仮想彫刻システムで再現するとともに,仮想空間での石刻画補修のシミュレーションを行った.さらに縄文土器の紋様生成を再現するための手法の開発も行った.これらの研究成果のいくつかは国際会議等で発表を行うとともに,学会誌(画像電子学会)の論文としてまとめた.
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