研究概要 |
PCや携帯電話といった情報機器を含む,生活環境に存在する多様な機器,家具,設備などをまとめて,「生活環境デバイス」と名付ける.本研究では,「生活環境デバイス」に,いわゆる知的エージェントを埋め込み,それらが連携協力して,生活者が複数同時に持っている多くの目標を,あまり表立たずに(陰ながら)支援することを目的とする.その支援対象が利用者の持つ主たるタスク遂行に限定せず,付随的な目標も含んでいるところが,環境的なサービスの特徴的な点である.もちろん,この支援によって,却って利用者の生活力を奪うようなことがあってはならず,対象となる生活者が置かれている状況において,その生活者にとって,いかなるサービスが適切かを推論し,それに基づいて機器・設備間での連携計画を立案しなければならない.特に,いろいろな意味での安全性(情報セキュリティといった情報的な安全性と,怪我や事故を引き起こさないといった,物理的な安全性)の確保が重要である.それらは,利用者にとって暗黙的であるが必須の目標といえる. 本年度は,まず,ポリシー記述言語のプロトタイプをXACMLの拡張の形で実装した.電子カルテ対象としたアクセス制御を題材に,新たに提案した義務記述によって,カード状のパッシブRFIDタグを使ったIDカード認証の強制ポリシーを実際に取り扱えるデモを作成した.これにより記述力を評価中である.また,RFID(とWebカメラ併用による)位置情報管理に基づいた利用者状況推定を一部試みることができた.ポリシー記述のための分散執筆環境は,Wikiベースにテキストレベルのポリシー記述実験を行った.実現可能性評価のために研究計画に含まれているエージェントベースドシミュレーションによるサービス満足度評価に関しては,環境整備ツールの一部を構築した.
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