研究概要 |
本研究では、株価等の金融データ、シミュレーションによる科学技術データ、温度や気圧等の気象データなどの時間的に変化するデータである時間データの類似検索に関し、その適用能力の向上を目指す。すなわち、従来の類似性定義ではなく時間データが生成される内部構造表現に着目して記述した特徴の類似性を定義することで、特定の応用に依存せず広範囲の応用に適用可能なこれまでにない高い適用能力を持つ新たな類似検索手法の開発を目指す。本研究は次の研究項目を設定して研究を行う。1)内部特徴モデル表現の開発,2)内部特徴モデルを用いた類似検索方法の開発,3)本提案方法の特定応用分野への適用,の3項目である。平成20年度では、内部的特徴モデルの基本方法の確立を目指して研究を行った。その結果、既存類似検索手法の分類と体系化を実施すると同時に、基本方式を音楽を中心とする応用分野で実施した。 平成21年度に関しては、平成20年度で実施した研究内容をより緻密にかつ広範に展開することを試みた。すなわち、平成20年度で基本方式の構築を行った内部特徴による類似検索の方式を構築するとと同時に各種応用情報への適用とモデル精緻化を行った。さらに、構築した内部特徴モデルの類似検索方法の第一段階の開発を行うと同時に精度の向上を目的としてモデルの精緻化をはかった。これについては、代表研究者が海外の研究者との研究交流を行うことで実現した。具体的には、平成21年度9月末より12月下旬までドイツのミュンヘン大学にて時系列データの類似検索と応用に関する研究グループを訪問し、技術の交流と議論によって、提案する方法の有効性を確認すると同時に方式の改善を実施した。また、本研究環境を推進するための基礎技術を固めるため、情報の信頼度や重要度の特徴定義および効率的な物理的インデックス構成法の研究を合わせて実施した。
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