研究概要 |
本研究では、株価等の金融データ、シミュレーションによる科学技術データ、温度や気圧等の気象データなどの時間的に変化するデータである時間データの類似検索に関し、その適用能力の向上を目指す。すなわち、従来の類似性定義ではなく時間データが生成される内部構造表現に着目して記述した特徴の類似性を定義することで、特定の応用に依存せず広範囲の応用に適用可能なこれまでにない高い適用能力を持つ新たな類似検索手法の開発を目指している。本研究では1)内部特徴モデル表現の開発2)内部特徴モデルを用いた類似検索方法の開発,3)本提案方法の特定応用分野への適用,の3項目での研究を行っている。平成20年度では、内部的特徴モデルの基本方法の確立を目指して研究を行った。その結果、既存類似検索手法の分類と体系化を実施すると同時に、基本方式を音楽を中心とする応用分野で実施した。平成21年度に関しては、平成20年度で実施した研究内容をより緻密にかつ広範に展開することを試みた。最終年度の平成22年度では、これまでの研究状況および研究成果を踏まえて、類似検索方法の性質分析と他の応用分野への適用とモデル改良を行った。具体的には、構築した内部特徴モデルの適用可能性および精度の向上を目的としてモデルの改良をはかり内部特徴モデルとして確立を行った。 さらに、内部特徴モデルを用いた類似検索方法の性質を調べた。この点に関しては平成22年度3月末より9月中旬までオーストラリアのクイーンズランド大学を訪問し海外研究者との研究交流によって性質の導出を行った。さらに、構築した内部特徴モデルを用いた新たな類似検索方法を他の応用分野での適用を図り、従来方法との優位性の評価を行い、提案方法の有効性を明らかにした。また、本研究環境推進のための基礎技術としての研究も合わせて実施した。
|