研究概要 |
本課題は,「仮想と現実を継ぎ目なくつなげるリアリティ(現実感)の実現」に焦点を当て,「現実と仮想の間に人間が違和感を覚える境界」を許容限として,利用者に違和感を与えない仮想環境を描出する新たな手法を実現することを目的とする。平成20年度は,下記の要素技術の研究開発とシステム化,および実験・評価を行った。 1.対話型進化計算による触力覚を含んだ複合メディア最適化法の設計・開発 3次元グラフィックス映像と触力覚情報からなる仮想環境を対象に,対話型進化計算法に基づいて利用者自身が直観的に仮想環境をデザインできる手法とそのソフトウエアシステムを設計・開発した。 2.認知的インタフェースと高信頼プロトコルの設計・開発 上記1の機能を広範な利用者や多様な応用分野に適用できるようにするために,人の免疫機構をモデル化したインタフェース,触力覚データの高信頼通信に対応可能なプロトコルを設計・開発した。 3.単体試験と評価 遠隔地の利用者間で触力覚装置を用いて手書き文字の教示を対話的に行う応用システムを上記1および2の機能を用いて開発し,各機能の有効性と処理性能について評価・検証を行った。 4.研究成果の公開と意見聴取 上記1および2の研究開発内容と3の実験・評価結果をまとめて, IEEE SMC2008(シンガポール,10月),IEEE ISPA2008(シドニー,12月), VENOA2009(福岡,2009年3月)等の国際会議,情報科学技術フォーラムFIT等の国内学会,およびJournal of Multimedia誌で成果発表を行い,専門家からのレビューを受けるとともに,機能強化のための意見や示唆を聴取した。
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