研究概要 |
本課題は,「仮想と現実を継ぎ目なくつなげるリアリティ(現実感)の実現」に焦点を当て,「現実と仮想の間に人間が違和感を覚える境界」を許容限として,利用者に違和感を与えない仮想環境を描出する新たな手法を実現することを目的とする。平成21年度は,下記の4項目に関して研究開発を行った。 1. システムの改善と機能強化 平成20年度に開発した応用システムの性能を実験に利用できるように改善した。特に,屋内外での実験を想定して,携帯型ノートパソコンやモバイル端末向け可視化機能の設計・開発と性能改善,可搬式触力覚装置の整備とその制御ソフトウエアの開発,および性能データ収集・分析用ツールの開発とシステムへの組み込みを行った。 2. 実験用システムと環境の整備 学内LANと広域網を用いた屋内外で利用可能な実験環境を整備した。また,デジタルデバイドの解消を想定した電子投票システムや携帯端末を利用した災害時情報検索システム等の新たな応用システムを設計・開発し,視覚と触力覚を統合化したインタフェースを用いて,利用者が感じる違和感の境界を探索・評価するための実験システムを構築した。 3. 予備実験の実施と評価 上記2で開発した実験システムと環境を用いて予備実験を実施した。特に,利用者の違和感の軽減や触力覚メディアの提示による利便性の向上に関する観点からデータを収集し,問題点の検討およびシステムの改善・強化を行った。 4. 研究成果の検討・評価と公開 上記1~3の研究開発内容と実験結果をまとめて,IEEE NBiS2009(米国,8月), IEEE TENCON2009(シンガポール,11月),CISIS2010(ポーランド,2010年2月)等の国際会議,DICOMO2009等の国内シンポジウム,およびIJBIDM, IJHPCN国際論文誌で成果発表を行い,専門家からのレビューを受けるとともに,平成22年度の実証実験に向けて意見や示唆を聴取した。
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