研究概要 |
本研究は,ペン・モバイルコンピューティング分野における重要な話題のひとつである、ペン入力ユーザインタフェースデザインに関するものである。具体的には、本研究はペン固有の操作特性を生かすために人間の基本的な操作能力をペン属性入力量の視点から解明している。一連の実験的な基礎研究を通して人間のペン圧力、傾きと方位(ペン属性)をコントロールする能力を明らかにし、その能力を考慮したペンインタフェースデザインを提案している。主な成果を次に要約する。(1)各属性の良く使用される区間、稀に使用する区間、属性間の関連性を明らかにした。併せてメーカー提供の1024[units]圧力レベルが入力操作に不十分なことも示した。(2)ペン圧力による操作を行うため圧力を階層化にすることを目的として、人間の圧力コントロール能力に基づく利用者の特性に適応した区分法を提案した。(3)ペン入力分野で初めてペン傾きと方位に着目し、これらの属性をペンインタフェースデザインに十分利用可能なことを明らかにした。(4)ペン移動しながらオブジェクト寸法を変更する等の操作タスクなどを実現するため、入力属性を混在的に使用する必要があり、これらの属性をどのように有機的に組合せればよいかを実験的に調査した。ペン先を移動しながらのサイズ変更においてペン圧力に優位性がある一方、サイズの微小な変更操作では、傾きの学習効果が優れエラー率も一番少なかったことを明らかにした。これらの研究成果はペン入力インタフェースのデザインに役立つものである。
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