研究概要 |
本年度は,1.動的スタイリングの効果の分析,2.記述言語の整理・拡張,3.ツールキット化,4.アプリケーションの開発,の4つの項目について下記の研究開発を行った. 1.昨年度に引き続き,周辺情報提示における文字列のスクロール表示に関して,実際の文字を使用して認知処理を要するタスクを課した評価実験を行い,認知時間およびタスク集中度に対する提示文字列の大きさ,速度,方向の影響を分析した.その結果,提示速度が遅く,文字が大きいほどメインの作業を妨害しないこと,ある速度を境目に,それより遅い場合は文字が大きいほど認知時間が長く,速い場合は文字が大きいほど短くなることが分かった.この結果は周辺情報提示に動く文字を利用する際の指針となる. 2.文字アニメーションを効果的に利用したコンテンツを分析したところ,楽曲の歌詞を音楽に同期させて表現するものが多いことが分かった.このようなコンテンツを作成する際には従来の時間記述では効率が悪いと考えられる.そこで,拍やテンポなどの音楽の時間記述方法の導入を検討し,仕様を決定した. 3.Java言語で作成したプレーンテキストへの文字アニメーション自動マークアップ処理ライブラリについて英語対応を充実させるためOpenNPLの導入作業を進めている. 4.RSSやマイクロブログの視覚化手法,小説の小型端末上での閲覧アプリケーション,デバイスの振り方でメッセージを選択・スタイリングする自己目的的コミュニケーションツール,などの各種アプリケーションの開発を進めている. なお,以上の研究について京都工芸繊維大学の辻野嘉宏教授,倉本到准教授,上田晃寿氏,古屋啓介氏,村山元基氏の研究協力を得た.
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