研究概要 |
昨年度までの成果より,対面協調作業においてテーブルの周囲を自由に移動しながらテーブル面上の作業領域を共有することが有効であると示され,遠隔地間においても同様な環境を実現することが望まれる.しかし,遠隔ジェスチャは二次元映像として表示されるために見逃されやすい上,見えていたとしてもジェスチャ映像が実物や人の手などに隠れて見えなくなってしまう状況が頻発する.そこでこのような不可視性に関する問題を緩和するための手法として,Remote Lagを提案した.Remote Lagとは,一瞬前の遠隔ジェスチャの映像を現在の映像に重ねて表示する手法を指す.実験データを分析した結果,ユーザがRemote Lagを用いることによって不可視の状態から遅延なく復帰できる場面が多数発見された.さらに,テーブル面を共有して行う作業の利点である「多人数(1地点に複数ユーザが参加)による動きを伴う協調作業が可能」という点に注目し,上半身映像の有無がテーブル上の作業にどのような影響を与えるかを実験により調べた.実験データを分析した結果,上半身映像を投影した場合,ユーザ相互間で上半身映像が次の動作や作業への予測や準備に寄与し,作業効率が有意に向上した. 研究代表者平田は本提案の統括責任者として各研究者間の連携を深めるとともに,実験全体が円滑に実施できるよう実験全体の計画・実施・調整を行った.実験ではNTT厚木にて実験を実施した.研究分担者葛岡は技術と理論における指導的な立場から実験立案,分析,検討をした.研究分担者山下はこれまで従事してきた異文化コラボレーションで功を奏した手法を発展・応用させ,葛岡とともに実験計画を立案,実施,分析,検討に当たり,実験では厚木にいる平田と連携しながら,NTT京阪奈にて実験実施した.本実験結果を分析検討し論文化し情報処理学会誌およびCSCW2010にて発表した
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